祐深哀人様より
マルボロ
「あれ?ルルーさぁ……。」
くんくんと犬のように匂いを嗅ぎながらアルルが近づいてくる。
そして、不意に私の髪に触れてその匂いを嗅ぎ始めた。
「な、何よ……。」
「ルルーの髪からさ、なんか…煙草…みたいな匂いがして…。」
煙草。…といえば思い浮かぶ顔はただ一つ。
「そうかしら…?」
「うん。ルルー!!未成年は煙草駄目だよ!!」
「お馬鹿ねぇ〜…私が吸ってるワケないでしょ。
今日お父様にお客様が来てね、その人の相手してたのよ…その人の煙草の匂いでも移ったんでしょ。」
「へぇ〜…でも、結構嫌な匂いじゃないね。」
「…そうね。」
「なんていうのかな?」
「…………マルボロ…。」
あの娘にはあんな嘘ついちゃったけど、そんな簡単に煙草の匂いなんて移る訳がない。
私は…この煙草を吸う人と毎日会って…身体を重ねているから。
初めはただ欲求を埋めるだけだったのに…
月に一度から二度に、週に一度に、三日に一度、二日、そして毎日。
気が付けば私はもう彼無しではいられない。身体だけではなく、心も。
この髪に染みついたマルボロの匂いは、私の心に染みついた彼みたいだった。
今日も、私は貴方の元へ向かう。
いつも鍵を掛けない扉を開けて名を呼べば、クスリと笑みを浮かべて私を手招きする。
情事が終わった後の彼――シェゾはいつも煙草を吸うのだ。
「ねぇ…煙草吸わないでよ。」
「あ?いつも吸ってるじゃねぇか。」
「そうだけど…今日アルルに言われちゃったのよ。」
「何を?」
「煙草の匂いがするって。」
「そうかぁ…?」
そう言ってシェゾは私の髪に顔を近づける。
正確には首筋に、手で髪をすくいあげてそれを鼻に寄せる。
「…っ…あ……。」
本日二度目、不意を突かれた。
髪の匂いを嗅いだその後に、鎖骨の辺りに口付けられ、きつく吸い上げられた。
「いいんじゃねぇの?俺が吸ってる匂いがお前に付いてると、所有の印みたいじゃねぇか。」
これもな、とシェゾは鎖骨の辺りに付けた跡を撫でる。
「冗談じゃないわよ。いつ私がアンタの所有物になったっていうの?」
私はその指を払いのけた。
「そんなこと言うんだったら匂いが付く程ここに来るんじゃねぇよ。」
「そりゃ私は…アンタに抱かれてるけど…別にそれだからアンタの物ってワケじゃあ…。」
「ま、時間の問題ってか。」
会話が咬み合ってない。なんだか私の気持ちが悟られているみたいだった。
これ以上口を開く程墓穴を掘ってしまいそうだ。
私は顔を背けた。
「別に無理してここに来なくてもいいんだぜ?俺は気が向いたら来いと言っただけだしな。」
「もっと可愛がって欲しかったらちゃんと認めろよ。」
シェゾは煙草の煙を含んだ口で、私に口付けた。
否応無しに肺に煙が入ってきて、舌を絡め取られて弄ばれる。
何を認めろと言われてるのかよくわからないけど。
今の時点で、私は既に彼の所有物なのではないか、と感じた。
体内に入ってきたマルボロの煙は、私を縛る鎖のようだった。
+End+
え〜と…なんとなく…すいません。
初めっからワケの分からない物を書いてしまって…
すっごい不純な関係で本当に申し訳ない。
シェルル→セフレなイメージが日増しに強く…。
シェルルは恋愛になり得ない関係だと色々な方がおっしゃるのでね、これならどうじゃい!と…(爆)
でも、ルルー様視点なのであんまりそれっぽくないですね。
今度はシェゾ視点で……